お礼状の書き方
お礼状には「頭語/結語」や「時候の挨拶」といった普段はあまり使われない決まりのフレーズがあります。
堅苦しく面倒に思われる事も多いですが、このような形式を利用する事で、お礼状の書き出しや文末の言葉が書きやすくなったり、文章全体の流れが綺麗になり相手への敬意やお礼の気持ちをより強く表現をすることができます。
また、形式を外れた文章や言葉遣いの手紙ではせっかくのお礼状も失礼な印象を与えかねません。お礼状の正しい書き方を学んでお礼状を作成しましょう。
1.手紙の基本構成
正式な手紙は「封書」となり、はがきは基本的に手紙の簡易なものと考えられています。目上の人に送ったり敬意や謝意を表すお礼状を送る場合お詫びなどを述べる大切な場面では封書を用いるのが基本となります。また、受取人のみが内容を確認できるようにするという点でもはがきではなく封書の形式を利用します。 ただ、年賀状や暑中見舞いといったあいさつの意味でのお手紙では、目上の方に対しても一般的にハガキを用います。
構成要素 | 内容 | 例文 | |
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前文 | 頭語 | 書き出しの言葉。 結語との組み合わせがある。 |
拝啓 謹啓 |
時候の挨拶 | 月毎に決められている定形挨拶文。 | 新春の候(1月) 晩秋の候(11月) など |
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挨拶文 | 先方または自分の安否。 感謝の言葉。 |
・皆様におかれましてはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。 ・平素は格別のご愛顧を賜り感謝申し上げます。 |
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主文 | 起こし言葉・起語 | 本文に入る前に前置きする言葉。 | さて・このたびは。 |
本文 | 手紙の主題となる部分。 | この度は〇〇に際し、素晴らしいお花を賜りまして誠にありがとうございました。 微力ではありますが誠心誠意、職務に打ち込み、さらなる事業拡大を成し遂げる覚悟でございます。 これまでのご支援ご助力に心より御礼申し上げますとともに、今後ともよろしくご指導くださいますようお願い申し上げます。 | |
末文 | 結びの言葉 | 本文の後に結びの言葉として述べる。 | 略儀ではございますが書中をもちまして御礼申し上げます。 |
結語 | 頭語とレベルのあった結語 | 敬具・謹白 | |
後付け | 日付 | 日付 | 平成三十一年月吉日 |
差出人 | 差出人の名前 | 山田一郎 | |
宛名 | 送付先のお名前 | 鈴木二郎 | |
脇付 | 相手あいてへの敬意を表す。 | 机下 |
2.前文の書き方
前文は「頭語」を書き出しに「時候の挨拶」を書き、その後に先方への感謝や安否を気づかう「挨拶文」が続きます。 はがきの場合や事務的な事柄や謝罪文、お悔やみなどの場合はこの挨拶文を含め前文を省き主文から記載してもかまいません。
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頭語・・・・・頭語とは手紙の最初に用いる言葉です。また主文の最後に記載する結語と組み合わせて利用するものでその際には頭語のレベルに合った結語を選ぶ必要があります。一般的なお手紙に用いる「拝啓」や比較的あらたまったお手紙を書く際に用いられる「謹啓」などの頭語には、それぞれ「敬具」「謹言」といった結語を用います。 頭語と結語の組み合わせについては、次の章で詳しく説明します。
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時候の挨拶・・時候の挨拶とは頭語の後に記載する季節に関する言葉になります。月毎に決まった言葉があり手紙の導入に用いることで季節感のある綺麗な書き出しにすることができます。 親しい方へのお手紙には堅苦しい印象がありますので、表現を少しアレンジするなどでカジュアルな表現を用いるとより良いでしょう。特にかしこまったお手紙やビジネス上でのお手紙には定型句を利用することをおすすめします。
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挨拶文・・・・挨拶文とは頭語と時候の挨拶に続き、お手紙の主題である主文に入る前に先方への感謝や安否を気づかう挨拶文を簡単に記載します。
3.頭語と結語の書き方
頭語とは、手紙の書き出しに使われる言葉です。 「拝啓」「謹啓」などがあり用途や先方との間柄に合わせて頭語を使い分けます。 頭語は普段使う機会も少なく慣れない言葉の為、手紙を書く際に抵抗を感じてしまったり間違った使い方をしてしまう場合もありますが、 一度使い方を把握できれば電話をかけた際の「もしもし」や人とお会いした際の「おはようございます」「こんにちは」といった自然な挨拶のようにスムーズな流れを作りだし、整ったお手紙の書き出しにしてくれます。
用途 | 頭語 | 結語 |
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一般的なお手紙 | 拝啓 拝呈(はいてい) 啓上(けいじょう) 一筆申し上げます【主に差出人が女性の場合】 |
敬具(けいぐ) 敬白(けいはく) 拝具(はいぐ) かしこ【主に差出人が女性の場合】 |
あらたまったお手紙の場合 | 謹啓(きんけい) 謹呈(きんてい) 恭啓(きょうけい) 謹んで申し上げます【主に差出人が女性の場合】 |
謹言(きんげん) 謹白(きんぱく) 敬白(けいはく) かしこ【主に差出人が女性の場合】 |
前文を省略する手紙の場合(親しい方への手紙またはお詫び・お見舞いの手紙) | 前略 冠省(かんしょう) 前文お許しください 前略失礼いたします 前略ごめんください【主に差出人が女性の場合】 何よりもまずお詫び申し上げます【深いお詫びの場合】 |
草々 不一(ふいつ) かしこ【主に差出人が女性の場合】 敬具(深いお詫びの場合) |
急用の手紙の場合 |
急啓(きゅうけい) 急呈(きゅうてい) 急白(きゅうびゃく) 取り急ぎ申し上げます【主に差出人が女性の場合】 |
草々 不一(ふいつ) 不備(ふび) かしこ【主に差出人が女性の場合】 |
一般的な返信の手紙の場合 | 拝復(はいふく) 復啓(ふくけい) 謹復(きんぷく) お手紙拝見いたしました【主に差出人が女性の場合】 |
敬具(けいぐ) 拝答(はいとう) 敬答(けいとう) かしこ【主に差出人が女性の場合】 |
再信の場合 | 再啓(さいけい) 再呈(さいてい) 重ねて申し上げます たびたび失礼ながらお便り申し上げます【主に差出人が女性の場合】 |
敬具(けいぐ) 敬白(けいはく) 拝具(はいぐ) かしこ【主に差出人が女性の場合】 |
面識のない相手に出す手紙の場合 | 拝啓(はいけい) 拝呈(はいてい) 初めてお便りを差し上げます 突然お手紙を差し上げる失礼をお許しください【主に差出人が女性の場合】 |
拝具(はいぐ) 敬具(けいぐ) 敬白(けいはく) かしこ【主に差出人が女性の場合】 |
4.主文の書き方
主文は、起こしの言葉である「起語」と手紙の主題である「本文」で構成されます。
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起語・・・・・主文を書き始める前に記載する言葉で「起語」(起こしの言葉)という。 「さて」「ところで」「この度は」「誠に恐縮ですが」など、さまざまなものがあるが、その中でも「さて」「この度は」が一般的に多く利用される。
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本文・・・・・本文はお手紙の主題である用件を書きます。本文の内容は、送り手の言葉を記載するようにしてください。 簡潔に分かりやすい言葉を使うと内容が伝わりやすいお手紙になります。
5.末文の書き方
末文とは「結びの言葉」と「結語」から構成されます。
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結びの言葉・・・文章を締めくくる挨拶の言葉です。別れ際の挨拶に例えられることもあり、結びの言葉をきちんと書くことでお手紙全体に丁寧な印象を与えてくれます。
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結語・・・・・・結語は頭語と対で用いられる締めくくりの言葉です、頭語と結語のレベルをあわせるようにします。
6.後付けの書き方
後付けとは手紙の文面の最後に記載され、日付・署名・宛名・脇付で構成されます。
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後付けは、その手紙が、いつ、誰によって書かれたものかをはっきりさせるものです。具体的には日付、署名、宛名や脇付、副文・添え文などが後付けに入ります。